① 第一の試練

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  コンコンコン…。 静かな空間に 乾いた音が響きわたる。 何かが メグの部屋の窓を叩いたのだ。 「誰だろう?」 メグは 窓をあけてみた。 ババババババババっ 小鳥が羽ばたくような ちいさな音とともに 羽のはえた 手の平くらいの大きさの 小さな男の子が入ってきて メグの机の上に チョコンとあぐらをかいた。 『こんばんは!お嬢さん!』 小さな小さな少年が 元気に叫んだ。 「こんばんは! あなたはだーれ?」 『僕の名前はドベ。 君に会いにきたんだ。』 「えっ!?」 『君は選ばれたんだよ。』 「なに…?どういうこと?」 『こぐまの夢をみただろ?』 「うん。」 『彼は 僕らが住む 妖精の森のこぐま。 彼らは神聖な動物でね こぐまは大人になった時、 世界を守ってくれる 守り神になるんだよ。』 「そうなの!すごい!!」 『今年は 何十年かに一度の 新しいこぐまが大人になって 先の守り神であるおおぐまから 役目を引き継ぐ年なんだ。 妖精の森のこぐまは しっぽをもたない。 こぐまが 守り神として大人になるには しっぽが必要なんだ。 そのしっぽを手に入れるには 人間のこどもの協力が 不可欠なの。 その協力者に選ばれたのが君ってわけ。』 「でもわたし、 しっぽのありか知らないよ!」 『知らなくていいんだよ。 こぐまは 誰か一人、 七歳をむかえる人間のこどもの 夢の中に入って しっぽがほしいとお願いする。 そうすると そのこどもが 午前零時に 誕生日をむかえてから 夜明けまでの間、 そのこどものもとに 先のおおぐまのところから 一時間に一人、 使いの妖精がやってくるんだ。 僕がその 最初の妖精さ! その妖精達がだす六つの試練を   選ばれたこどもが   すべて 乗り越えることができたら おおぐまからこぐまに しっぽが与えられるんだ。』 「そうなんだ。 わかった! こぐまさんのために、 わたし、全部乗り越える! がんばる!!」 『ありがとう。 じゃ、はじめるよ。 君に捧げる最初の試練だ。』 _
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