第三章「開幕戦・鮮烈デビュー?」

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翌朝。快晴。 新城はそれまでと変わらない朝を迎えた。 表面上はであるが。 俺のシーズンはまだ始まっていない。 「父さん、勝つまでは、帰らないからな」 強い決心。 そう、自分はまだ実力を出し切ってはいない。 軽めの朝食を済ませると、井原に呼ばれる。 「よお、良く眠れたか?」 「えぇ」 「単刀直入に言おう。昨日のスリーランだが、お前はどう考えてる?」 「下位打線と油断してました。全て、自分の慢心でした」 「原因が分かっているなら良い。今日も使うからな。準備しておけよ」 「はい。それでは、失礼します」 野球とは筋書きの無いドラマと良く言われる。 大量リードしていながら逆転されることもあれば、まさかの伏兵が大活躍することもある。 そして、先発投手が序盤で崩れることも。 「ブルペンでは絶好調だったんですが」 「ま、こんなこともある。新城の準備は?」 「すぐにでも。しかし、今出すのですか?」 「ああ。三回、無死一、二塁が、無死満塁になる、この場面でな。リベンジだよ、リベンジ」 昨日のスリーランを打たれたチームを相手に。 新城健児の、本当の開幕戦が今始まる。
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