第四章「始まりの出会い」

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「螺旋回転速球?」 「ジャイロボールのことですよ。本物のジャイロボールのね」 「本物のジャイロボール?」 ジャイロボール。 ボールを進行方向に対し、完璧な螺旋回転することで、通常の速球と比較して、抜群のノビを発揮する球のことだ。 理論的にはそういう球もあることは荒川も知っていた。 フィクションの球であることも。 「湊一成くんは、世界で唯一の本物のジャイロボールを投げることが出来る投手です。彼が一年生の頃から調査させていただき、この結論に到達しました」 「しかし、公式戦でもプロで通用するような実績は・・・」 「神宮寺選手をご存知ですよね?」 「東京ジャイアントの選手」 「その彼を三球三振にした二年前の試合。彼は意識してジャイロボールを投げていました。しかし、現状の身体がその球の反動に耐えきれていません」 「でしたら、宝の持ち腐れじゃないですか」 「そうです。今は、ね」
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