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「あれ? 監督だ」
「え?」
図書室に荒川が現れる。
「誰か一緒ね。誰かしら?」
「・・・井原保選手」
「誰?」
「僕らが生まれた頃、活躍したプロ選手だよ」
荒川は辺りを見回し、湊を見つけると荒川は近づいてきた。
「湊、勉強中すまないが、ちょっと良いか?」
「はい。構いませんよ」
「私も行くわ」
「いや、青木は――」
「別に構わないんじゃないですか? 折角井原選手とのお話する機会ですし」
「俺を知っていたの?」
井原は少々驚いた様子だ。
「来シーズンからの東北フェニックスの監督に御就任されますよね?」
「あらあら、俺って有名人だったのね」
おどけて言う。
「湊、青木。場所を変えて中庭のベンチに行こう」
場所は移って中庭。
いつも通りの湊とやや落ち着かない様子の佳奈。
井原は落ち着いた様子で、おもむろに口を開いた。
「湊くん。プロ野球の世界に興味はあるかな?」
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