第四章「始まりの出会い」

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「何で断っちゃったの? 折角の誘いなのに」 学校からの帰り道。 井原が帰ってから、佳奈は湊を問いつめる。 「正直、分からないんだ。僕のことを高く評価してくれていることは分かるんだけど、本当にそうなのかなって」 ゆっくりとした口調で湊は言う。 「確かにプロの世界は厳しいもんね。不安になる気持ち、分かるよ」 「いや、不安とは違うんだよね」 不思議なことを言う。 「不安じゃないの?」 「不安、とは違うよ。本当にそれで良いのか、自分の中で整理出来ていないんだ。このままプロの世界に行くか、別の道を選ぶかってね」 高校生で将来を左右する決断を迫られる。 それも予想外の状況でだ。 「でも、いっくんの人生なんだから、いっくんの好きなように決めたら良いよ」  
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