第四章「始まりの出会い」

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「・・・本当に、僕はプロ選手になって良いんですか」 「正直言って、100%保証することは出来ない。やってみなければ分からない部分があるのがスポーツだ。だが、君が秘められた能力を発揮出来たなら、新しい野球の常識が始まる」 「ご期待に応えられないかも知れませんよ」 「期待したのはこっちさ。君は君のベストを尽くせばそれで充分だ」 井原は至って淡々と語る。 「だが、人と違う事をする。新しい事をすると、必ず世間の批判を受けてしまう。それさえも君ははね除けると確信している」 新しい野球。 成功する保証は無い。だが、決して間違いではないはずだ。 挑戦する。 その事に、間違いはない。正しいかどうかは、後で判断すればいい。 「分かりました。僕は僕のベストを尽くします」 プロ野球選手、湊一成の挑戦が始まった。 「一つ良いですか?」 「ん?」 「前に、大学で基礎を固めてからだと100%通用しないって仰いましたけど、どういう意味だったんですか?」 「ああ、アレね。単純な事さ。フォーム矯正とバランスを考えない素人筋トレメニューじゃあ、基礎を固める所か、折角の天賦の才が消えちまうってこと」 「そうなんですか?」 「そうそう。大体、指導者って奴は、自分の理論を押し付け過ぎなんだよ。もっと広い視野でやらないと」 「はぁ」 自分も指導者じゃなかったのか。 そんな疑問も浮かんで来たが、まあ、気にしない事にしよう。 そしてドラフト会議。 湊一成は、高校ドラフト2位で東北フェニックスに入団する。 未知数の、可能性を評価されて、挑戦する。  
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