第五章「不死鳥リレー・春の巻」

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御堂郁乃は、破天荒な少女だった。 御堂グループのお嬢様でありながら、近所のガキ大将で、我が強く、喧嘩も強かった。 上級生の男子をも手玉に取り、リーダーシップに秀でていた。 幼いながらも、上に立つもののカリスマ性の高さを発揮していた。 乱暴者という印象を受けるが、可愛らしい少女だった。 そして、妙に湊になついていた。 その為、湊が影の番長という立場になってしまったのは、言うまでもない。 そして、中学校卒業と同時にアメリカの高校に行ってしまい、向こうの大学に進学したと聞いた。 「でも、佳奈ちゃん。帰ってくるって、まだ大学2年のはずでしょ?」 「それが、高校と大学を飛び級して、卒業しているらしいのよ」 「・・・」 黙るしかないだろう。 アメリカに行く際、駄々をこねて、湊を強制的にアメリカへ連れて行こうとしたのだ。 それも、かなり強引な方法で。 マイペースで知られる湊が唯一マイペースでいられない相手。 それが御堂郁乃だ。 その彼女が日本に帰ってくる。
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