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「あの~、もしかして・・・」
『まさか、忘れたなんてことはないですわよね?』
嫌な汗が止まらない。
この感覚を忘れるはずがない。
「郁乃ちゃん、だよね・・・」
『良かったです。もしも忘れているようでしたら、今すぐ伺う所でした』
それだけは勘弁だった。
「た、確か、飛び級で大学卒業したんだよね、す、凄いな」
話をそらす。
『別に大したけとではありません。一成さんこそ、プロ野球選手とは凄いです。尊敬してしまいます』
「いや、尊敬されるほどじゃないよ」
『明日の試合、観戦させて頂きますので、頑張って下さいね。試合後、一緒にお食事に行きましょうね。予約はしてありますので』
「え?」
『試合が終わりましたら伺いますので、それでは』
用件だけ伝えると電話は切れる。
湊は冷静に事態を整理する。
つまり、試合後に郁乃ちゃんと食事に行くという事だ。
あまりに突然すぎだが、こちらに決定権が無いのは昔と同じなのか。
「はぁ~、深く考えるのは止そう」
もう寝てしまおう。
なるようになるさ。
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