第五章「不死鳥リレー・春の巻」

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「あの~、もしかして・・・」 『まさか、忘れたなんてことはないですわよね?』 嫌な汗が止まらない。 この感覚を忘れるはずがない。 「郁乃ちゃん、だよね・・・」 『良かったです。もしも忘れているようでしたら、今すぐ伺う所でした』 それだけは勘弁だった。 「た、確か、飛び級で大学卒業したんだよね、す、凄いな」 話をそらす。 『別に大したけとではありません。一成さんこそ、プロ野球選手とは凄いです。尊敬してしまいます』 「いや、尊敬されるほどじゃないよ」 『明日の試合、観戦させて頂きますので、頑張って下さいね。試合後、一緒にお食事に行きましょうね。予約はしてありますので』 「え?」 『試合が終わりましたら伺いますので、それでは』 用件だけ伝えると電話は切れる。 湊は冷静に事態を整理する。 つまり、試合後に郁乃ちゃんと食事に行くという事だ。 あまりに突然すぎだが、こちらに決定権が無いのは昔と同じなのか。 「はぁ~、深く考えるのは止そう」 もう寝てしまおう。 なるようになるさ。
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