第六十章『嵐の二次ラウンド・1』

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「それがキャッチャーの奥深さってもんだ。投手一人一人には個性がある。それに合わせてこっちがスタイルを変えてやるのさ」 特にブルペンキャッチャーは受けるだけが仕事ではない。 時に試合を左右する状況下でマウンドを任される投手の気持ちを高め、確実に肩を作ってやる。 投手の性格や特性に応じて、積極的にリードしてやったり徹底して受け身になる。 目立たない役目だが、絶対に妥協が許されないポジションだ。 「中々貴重な体験だったろ」 「はい。久しぶりに興奮しました」 初めて試合に出場した時のようなドキドキ感だった。 「これでブルペンも安心かな?」 「断定は出来ないが、マイナスにはならないな」 冷静さを保ったような発言をしつつも、礼治はどこか楽しそうだ。 「さて、妙に長く感じたが、いよいよ二次ラウンド開幕だな」 「ああ。最初の相手は、C組二位通過のプエルトリコ」 C組で古豪キューバと接戦を繰り広げ、二位で一次ラウンドを通過。 「単純な長打力は、敵わないよな」 プエルトリコもメジャーリーガーを中心としてチームを組んでおり、間違いなく強敵だ。 「先発は、予定通りで青井で行くか。球数の制限が一次ラウンドより増えると言っても、完投は難しいよな」 「状況に応じてリリーフを使う。最悪の展開――敗北して敗者復活枠から勝ち上がることも考えて投手をやりくりしないと」 本当ならば連勝して決勝トーナメントを一気に決めたい。 だが、それを許すような甘い相手はいない。 「まあ、国際試合の経験は浅いが、青井は初対戦相手には強い。クレバーだからな。流れを掴んでくれると信じるよ」
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