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野戦病院さながらの歯石除去、電動歯ブラシへの変換という革命が起こりました。
とはいえ、東歯科医院に通院し始めてからの、1、2ヶ月はまだまだ、その効果が見られず、私の口中は、あちこちの歯肉が腫れ、出血を繰り返し、時折、あまりにも歯茎の腫れがひどいため、急患で東歯科医院に駆け込むこともありました。
腫れあがった歯茎では、米を噛み締めるのも辛く、鏡に映すと、膿のような、白い奇妙な物体さえ、腫れた歯茎に付着していることもありました。
まさにリオのカーニバルさながらに、歯周病菌は踊り狂っていたのでしょう。
そんな激動の歯周病時代に悩まされる、私の歯茎から、東歯科医は、歯垢を採取し、顕微鏡で見せてくれたのです。
「見てみなさい。あなたの口の中に、これほどの歯周病菌がいるんです」
顕微鏡の画面いちめんに、くねくねと黒い線のような物体が、無数にひしめいています。
やつらは、とてつもなく元気でした。
くねくねと、いやらしく、動いています。
まるで、小さな蛇のようです。
そんな小さな蛇を無数に口中に飼っている状態が、歯周病なのかもしれません。
小さな蛇は、歯が抜け落ちるまで、繁殖を続けるのです。
東歯科医は言いました。
「ここは田舎だから、治療にも限界がある。この地元でも、東京まで治療を受けに行く人もいる」
といって、彼は東京の有名な歯科医の書いた、歯周病に関するパンフレットを読ませてくれました。
なぜ、そこまで一生懸命なのでしょう。
患者を商売敵に取られてもよいのでしょうか。
東歯科医には金儲けという、感覚はなかったのだと思います。
先生は患者本位で、治療に当たっていました。
私は金儲けでなく、真剣に、歯周病と向きあう、先生の熱意に打たれました。
私が食後三分以内のハミガキを徹底できたのも、先生のおかげだと思っております。
そして、歯周病菌を実際見たおかげで、イメージ療法も行えるようになったのです。
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