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「ねぇ健ちゃん、あれ!あれ!モアイ像モアイ像」
「違うよ。モヤイ像」
渋谷の駅に着いて改めて人の多さに驚いた。それに、交差点を歩く若者達のファッションにも。
「唯、あれメイド?」
「ゴスロリ。でも私もはじめてみた。かわいい!」
「そうかー?なんかすごいぞ。生でみると・・んーすごい」
田舎もんにとって都会の何もかもが刺激的だ。フリーペーパーというのがある。街中でただで配布されている。種類がいくつもあって、飲食店や遊び場の紹介をしているものや、アルバイトの紹介、漫画まである。すべて無料。しかも、割引チケットや商品券まで付いている。オレ等はそれらのフリーペーパーをもらえるだけもらって、仕事が終わると唯と二人でハサミ片手に熟読する。そして今、その中から選びに選んだランチバイキングの店にきている。
「どれいく?」
そこは中華にフレンチ、イタリアン、和食となんでもござれってすごい店。ほかにも候補があったのだが、この店に決めたのには大きな理由があった。デザートが充実しているのだ。ちなみにデザートとはいわずスイーツというらしい。唯は甘いものに目が無く、唯の意見でこの店に決まったのだ。
「ねぇ健ちゃん、あれってフォアグラじゃない?」
「唯、こっち北京ダックもあるぞ」
こんなワクワクする食事ははじめてだ。目の前に五十品目の料理と、三十種類のスイーツが並ぶ。
「健ちゃん少しずつだよ。フリーペーパーに書いてあったでしょ」
フリーペーパーにはランチバイキングの正しい食べ方まで載っている。
『①目的の品をまずはじめに確保する。なくなりしだい終了の店が多いため。
②いくらそれが好きでもがっつかない。大抵の初心者がこの失敗をする。腹が一杯になり数をこなせなくなる。
③そのお店の情報を事前に知っておくこと。お店によってはタイムサービスやサービスDayがあり、普段あまり食べられないスペシャルメニューがでることがある。携帯のお店のサイトを要チェック』…
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