第一部 あの日・・

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 オレの家は養鶏場で、暇があれば手伝わされる。おやじやおふくろからすればオレは大事な一人息子で後継ぎだ。オレだって夢だ憧れだといっても、まぁそーなるんだろうなーと、特に先々のことなど考えたりしなかった。  大学行くほど勉強もしていなかったし、はっきりいって不良だからね。  最近では、卒業前に車の免許も取れて、仲間達と卒業旅行の話で盛り上がっていた。  そんなときだった。遅れてきた友達から、唯が大変だ!と聞かされたのは。唯には母親がいない。AVに出ていた人らしい…。  そんなことオレにも唯にも関係ない。大人達はコソコソそういうこと陰でいっているけれど。そんなんだから唯のおやじさんは酒浸りになって、唯をもっと苦しめて…。  オレは唯の家に飛んでいった。 「おやじさん!やめてくれよ」  オレは叫んだ。いつものように酔っばらって唯を殴っていたのだ。 「養鶏場のガキか。なぁこいつの具合はどうだった?もうやっちまったんだろう?金払えよ。こいつには母親のように働いてもらわなけりゃいけないんだからなー」  そういうと、オレを弾き飛ばして唯の髪の毛を掴んで引き釣り回しはじめた。 「止めろよー」  オレは無我夢中で、何をどーしたのか?気付くと、唯のおやじさんが蹲っていた。  しばらくして仲間や近所の人、オレの両親がやってきて、村役場に連れていかれた。役場に着いてから連絡が入り、唯の親父さんは何ともないと分かってオレも両親もほっとしたのだが…  しかし!どーにも許せないことが起きた。役場や村の連中が唯の母親のことを口々にしはじめたのだ。しかも傷ついている唯に聞こえるように。そして、オレの両親までもが唯をあからさまにオレから遠ざけようとしたのだ!!! 「うーっ…」  オレは人前ではじめて泣いた。 「ちくしょー」  オレは唯の腕を掴みそのまま村を出た。
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