憧れの東京

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 その夜、上野の街を散策した。夜空にネオンサインがいつまでもチカチカ光っている。まるで夢の国だ。遊園地の中を歩いているようだった。こんな明るくてにぎやかに包まれた光の夜を経験するのははじめてだった。  唯にも笑顔が戻った。ただ単純に楽しかった。  そして…、オレ等はラヴホテルに泊まった。  はじめて唯を抱いた。  上野の公園の満開の桜のピンクが唯と重なる。『何もかもがこれからはじまるんだ』不安よりも、明日への希望と今この瞬間に手に入れた『いとおしい』という気持ちを、このままずっと守りたいと改めて感じていた。
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