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高速を走る車。
メルセデスベンツ。
その車内の運転席と助手席には二人の男が座っていた。
「面倒な事になってるねー。でも私は兄弟さえなんともなかったらどうでもいいけどね」
助手席に乗っている男は流れる景色を眺めているが景色などどこ吹く風。
「そうだな。まさか俺達兄弟に手を出すような無知がまだいたなんてびっくりだよ、我は」
「びっくり、て程でもないだろう。昔からそういうような奴はごまんといたさ」
「ふむ……確かにその通りではある」
「だろう?ラス。そのたびに私達が出ていって殲滅させてるんだし」
ラスと呼ばれた男はつまらなそうに隣りにいる男に目をやる。
男がかけている眼鏡を邪険に思っているようだ。
「リズ、それはいいが眼鏡を外せ、お前の視力は両目とも2以上だろう」
「この眼鏡はお洒落さ、伊達くらい誰でもするさ」
誰でも
それこそ殺人鬼でも
「ふん、眼鏡なんかかける奴は性格が捻くれてているんだ」
「実際その通りじゃないか。私は捻くれてるし」
ハハハ、と
リズと呼ばれた男は笑う。
この二人。
リズと呼ばれた男の名前は小鳥遊乢圉(たかなしふたご)。小鳥遊家の次男。25歳。
ラスと呼ばれた男の名前は小鳥遊武叉(たかなしむしゃ)、小鳥遊家長兄。28歳。
二人は小鳥遊家の双璧と呼ばれている。
さらには個人に二つ名までつく程。
「それにしても我には理解できぬ」
「何がだい?」
「後ろにいる鳥小だよ」
武叉の言う通り、後部座席には鳥小が……
さるぐつわを噛ませられ、手足の自由を奪われた状態で寝かされていた。
さらには乢圉を血走った目で憎々しげに睨んでいた。
さっきまで暴れていたのか汗だくなのだが、今では諦めたらしく大人しい。
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