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「別に突出した理由なんかないさ。ただ私は弟思いの良い兄ってことさ」
「んー!?んーーー!!」
乢圉の言葉に意義があるのか鳥小がいきなり唸りだした。
「なんだい可愛い弟。何か兄さんに言いたい事でもあるのかい?」
コクコクと頷く鳥小。それを見てか乢圉はさるぐつわを外してあげる。
「ふっざけんな!?何が良い兄だ!良い兄が学校に真面目に通っている弟を問答無用で拘束してさるぐつわ噛ませて連行なんかするか!?」
「それは愛情だよ」
「てっめー!もうすぐでテストなんだぞ?それに皆勤狙ってたのに全部パァだ!しかも今日は委員長と勉強会の予定なんだよ!」
鳥小は噛みつくような勢いで喋りたてている。
というよりも実際に牙を剥き出しにして噛みつこうとしているのだが。
「うん、怒っている鳥小も可愛いね鳥小。今日も可愛いよ。そんな鳥小が兄さんは大好きさ」
「うるせぇ!?この変態野郎がっ!絶対に殺してやるからな!未来永劫神に誓って天に送ってやるよ!郵送で!?」
金がかかる神様らしい。
「うーん、鳥小。ちょっと黙っててね」
乢圉は後ろを向いて身を乗り出し、鳥小の首筋に手刀をいれる。
「ぐふっ」
月並みな声を漏らし、鳥小は気を失う。
「兄が弟に手刀いれて気絶させるか?普通」
「これも愛情のスキンケアさ」
「スキンシップだろ?」
ふむ、と乢圉は頷く。
「それにしたってなんで鳥小なんかを連れていくんだ?鳥小よりも優秀な兄弟は沢山いるじゃないか。しかも鳥小は人を殺した事がない」
「んー……何となくだよ。しいて言うならば兄の……」
「愛情か?」
先読みして武叉が言ったが、乢圉はニヘラと笑って後ろで気絶している鳥小を見て言った。
「いや、ただの好奇心とお節介さ」
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