9 十三夜月

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「玲君の居ない間、寂しくない? こんな広いお家で一人って?」 「別に」 素っ気なく答えながらニヤは紅茶に砂糖を三つ落とした。 本当はとても寂しい、けれど杏子にそれを漏らすつもりなど毛頭なかった。 「ニヤちゃんは強いね」 「別に強かねーよ」 ニヤの乱暴な口振りにも杏子はクスリとわらった。 良く笑う人だなとニヤは漠然と思っていた。 杏子は沢山笑うし、沢山の笑い方を知っている。 それがニヤにはとても羨ましかった。 玲の言葉一つ一つにトゲトゲしくしか返せない自分とは全然違う、柔らかな雰囲気を纏った目の前の人が。 「ねぇ、矢野さんって玲の何?」
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