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「玲君の居ない間、寂しくない? こんな広いお家で一人って?」
「別に」
素っ気なく答えながらニヤは紅茶に砂糖を三つ落とした。
本当はとても寂しい、けれど杏子にそれを漏らすつもりなど毛頭なかった。
「ニヤちゃんは強いね」
「別に強かねーよ」
ニヤの乱暴な口振りにも杏子はクスリとわらった。
良く笑う人だなとニヤは漠然と思っていた。
杏子は沢山笑うし、沢山の笑い方を知っている。
それがニヤにはとても羨ましかった。
玲の言葉一つ一つにトゲトゲしくしか返せない自分とは全然違う、柔らかな雰囲気を纏った目の前の人が。
「ねぇ、矢野さんって玲の何?」
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