9 十三夜月

20/30

1404人が本棚に入れています
本棚に追加
/217ページ
聞きたくなかった筈なのに。 ニヤはかなりキツい調子でそう言い放っていた。 けれど杏子は特に気分を害した様子もなく「杏子」で良いよと言うと少しだけ考えて「友達……かな?」と答えた。 「ふーん」 「ニヤちゃんは玲君が好きなんだね」 真意の見えない杏子の発言にニヤは眉を顰めると「別に」と同じように答えた。 その様子に杏子がまた笑う。 しばらく、そんな風に他愛もない会話をしていると、八時を少し回ったころだった。 玲が帰ってきたのは。
/217ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1404人が本棚に入れています
本棚に追加