9 十三夜月

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「ただいま」 言いながら、リビングの扉を開けて。 「ニヤ、何回もメールも電話もしたのに、君は何のために携帯を」 こらえ切れなくなった不満をニヤにぶつけていた玲は、リビングのソファーに座る人物を見て押し黙った。 「……こんばんは。お邪魔してます」 ぎこちなく言う杏子に、玲は酷く驚いた表情を作ったあと、ニヤの方を見る。 「お前の忘れ物を届けてくれたんだ。 ブレスレットのお礼もあるし、家でまっててもらった」 何でもないことのようにいうニヤに「そう」と答えて。 「わざわざありがとう。 少し待っていてもらえるかな? 着替えて来たいのだけど」 と玲は尋ねると杏子が頷くのを見て部屋を後にした。
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