9 十三夜月

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薄暗い廊下を抜け、自分の部屋に入ると後ろ手でドアをしめ、ニヤはふっと息を吐く。 「お似合いじゃん」 呟いてそのまま正面からベッドに突っ伏せば、振動で枕変わりのワニのぬいぐるみが飛び跳ねる。 「お前は跳ねるな」 八つ当たりのようにそれを抱き込めると口のあたりをムギュッと掴む。 「……変な顔」 呟くように言った視線の先にあるのはお気に入りのワニ君ではなく、ベッド脇に置かれた鏡。 そこには黒い長い髪をした、吊り目の少女が写っていた。
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