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そう言って岩城が差し出したのは一枚の紙切れで。
「……秋の特別展示?」
手にとって見ればそれはこの近くにある美術館の入場券だった。
「お前、たまにそういう本、真剣な顔で見てんだろ?」
岩城に尋ねられ、ニヤは「ああ、まあ」と曖昧に返事をする。
岩城のいう「そういう本」とはおそらく玲の画集のことだろう。
暇な時間などに眺めていることはあったが、それを岩城が気にかけていたのは意外だった。
ただニヤとしては別に絵に興味があるから見ていたわけではなく玲の画集だから見ていたのだが。
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