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「お前さ、遅れて来てごめんとか、待たせて悪かったとかないのかよ?」
慌ててニヤの後を追って並んで歩き出した岩城がため息混じりに言う。
「ない。 言ってもニヤが遅れてきたことには変わりはないし、岩城の時間も戻らないし。 わざわざ遅れてきたことを強調するのが何よりヤだ」
当たり前のようにそう答えたニヤに岩城はもう一度盛大なため息を送ると。
「まあ、いいけどよ」
言って「それにしても」とニヤの方に目をやる。
「なんだよ?」
「せっかくのデートなのに、その格好はなくね?」
岩城の言葉にニヤは自分の服を見下ろした。
黒のパーカーにヴィンテージモデルのジーンズ。
お気に入りのスニーカー。
一体この格好のどこがいけないと言うのか? そもそも、ニヤは岩城が絵が好きだと言うので美術館につきあっただけであってデートなどという認識は一切ない。
「うっせぇ。 ニヤがなんで岩城なんかの為にフリフリ、キラキラな格好してこなくちゃいけねーんだよ」
「別にフリフリじゃなくて良いけどよ……しかも、その格好にそのブレスレットはないだろ、似合わねーよ」
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