2 母親の才能

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それが罪であることは認識している、だから僕はこうして逃げ出す。 彼女を力ずくで自分の物にしてしまわぬように。 夏休みの間中、ニヤを見続けることは僕にとってあまりにも過酷だった。 いっそ無理やりにでも抱いてしまえば彼女の瞳は自分を捉えてくれるだろうか? 黒い欲望が思考を支配するが、考えるまでもなく答えなどわかっている。 否、と。 そんなことをすれば、あの美しい黒猫は僕の元から逃げ出してしまうだろう。 思いとどまっているのはなけなしの自尊心故。 飼い猫に行かないでくれと泣きすがる哀れな飼い主になりたくない、ただそれだけ。
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