11 猫との決別

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「ゴリ先、便所行ったみたいだから、フケんべさ」 岩城の言葉に朝礼台の方に目をやれば、確かにそこにはいつもは居るはずの体育教師の姿はなく。 「らじゃー」 ニヤは言うか早いか、周回を重ねるフリをしてグラウンドから離れた。 二人がやってきたのは昼間はほとんど誰も寄りつくことはない部室裏。 薄暗いそこにへたり込むと、岩城が部室からスポーツドリンクの缶を二本くすねてきて、一本をニヤに投げてよこす。 「なに、この安物」 「仕方ないだろ、これしかねーんだから」 見慣れぬパッケージに眉を潜めいうニヤに岩城はそう返すと缶を開け一気に喉の奥へと流し込む。
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