11 猫との決別

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父が亡くなったのは十月も終わりにさしかかった頃だった。 もともと肝臓を煩っていた父は、僕が家を出て母と別居してから、まるで自分の命を縮めるかのように酒を飲み、呆気ないほど簡単に死んでしまった。 倒れてから何度か病室に足を運んでいたが結局母は病院には勿論、通夜にも葬儀にも顔を出すことはなかった。 ニヤに不要な心配をかけたくないのと、ニヤの前であまり親の存在を見せたくなかった僕は、地方での仕事とだけ伝え、泊まり込みで父の死後の処理に追われていた。
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