11 猫との決別

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僕は追いかけたい衝動をこらえて矢野さんに向き直る。 「送っていくよ」 僕の言葉に矢野さんは一瞬僕の方を見つめて、すぐに床に視線を落とした。 今の僕には彼女に優しく出来るだけの余裕はなくて。 「少しニヤの様子を見てくる」 そう伝えて、僕は再び部屋をでると自分の心を必死に落ち着けた。 矢野さんに八当たるようなことだけはしたくなかったから。 ノックして呼びかけてもニヤからの返事はなく、ソッとドアを開けると宿題をしているはずのニヤはシーツを頭まで被って眠っていた。
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