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それから僕は海沿いをひたすらに車で走った。
普段ないほどのスピードで走れば心が晴れるかと思ったが気持ちは鬱屈していくばかりで。
仕方なく家に帰ったのは月がかなり高い位置にきてからだった。
ニヤのお気に入りのリビングの窓際に座って、僕はキッチンに置いてあったワインの栓をあける。
空には見事な十三夜月があって、泣いてるみたいに銀色に輝いていた。
僕は両親を捨てた。
父が死んだことがまるで僕の……いや、まるでなんて曖昧なものではない、父が死んだのは僕のせいだ。
僕が絵を描いたことによって狂いだした歯車、そして、僕が出て行く事によってそれは完全に壊れてしまった。
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