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「知らない親戚が沢山いて驚きました、有名人も考え物ですね」
冗談めかして言った僕に「そう、それは大変だったわね」感慨深げに森川さんは漏らすと「それで、お母様は?」尋ねてくる。
「来ませんでしたよ、母は父を嫌っていましたから、親戚の方は随分と母のことを言っていました、おかしな話ですね、原因は僕にあるのに」
「玲君……あなたが罪悪感を感じることはないのよ? またニヤちゃんのときみたいに……」
「僕は両親を捨てた、そして両親に捨てられたニヤを拾った、それで僕の罪がいくらかでも消える、そんな気がして……
ニヤをあんな形で引き取ったのは間違いだったと、今では思っています」
僕の言葉に森川さんは俯いた。
ニヤは物じゃない、勿論猫でもペットでも当然ない。
僕は自分の罪を癒すためにニヤを利用したことを心から悔やんでいた。
森川さんにはニヤが親戚の子供でも何でもないこと、そして一人の女性として僕がニヤを好きだと言うことを、あの日、ニヤが気持ちを吐き出してくれた日の翌日に告白していた。
それと同時に自分がどのような経緯でニヤを引き取ったのか、どのように思い、なんと声をかけたのかも。
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