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それについて森川さんからは自分自身をも傷つける行為だと随分叱られた。
僕は「大丈夫ですよ」そう言って森川さんに向けて笑顔を作った。
「自分の罪を埋めるために、誰かを……ニヤを傷つけるようなことはもうしません」
「玲君……私が言ってるのは」
「午後の講習会の時間なので」
僕はそう言って立ち上がるとその場を後にした。
僕は両親を捨て、父を殺し、自らの罪が許されたいがためにニヤを傷つけた。
ニヤを猫と称し彼女と真剣に向き合わずちゃんとニヤのことを見てあげられなかった。
だから、今度はちゃんと見てあげよう。
自分の腕の中がニヤの居場所ならそれほど嬉しいことはないし、そう願ってやまない。
けれど、仮にこの先ニヤと道を違えることになってもニヤの幸せの為に出来ることをしよう。
仮に全てを捨ててでも、ニヤを失うことになっても、そうしようと父の死の際で誓ったのだった。
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