4 画家の才能

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数日もせぬうちにニヤの機嫌は回復していた。 結局、あの日ニヤが何にたいして怒っていたのかがわからぬまま、新しい絵を納めるために僕はその日、朝から画廊にいっていた。 ここの管理をしてくれているのは森川さんという僕より五つほど年上の女性で、黒い艶やかな短髪にパンツスーツを着こなす、いかにもキャリアウーマン然とした、若いが仕事の良くできる人だった。 同時に少女めいたところもあり、美人で無邪気な彼女は男女問わずお客さんから人気がある。 僕のことも本当の弟のようにかわいがってくれていて、僕にとって数少ない心許せる人の一人で僕は全幅の信頼を寄せていた。 それはニヤを拾った当時、親戚の子という名目ではあったが最初に彼女に相談したほどで。
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