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すぐにその視線は後ろへと移される。
「今回の絵は随分と気に入ってるんだね、でもあの絵はあげられないよ」
ツキリと痛む胸のうちを隠しながら僕が穏やかにそう告げると、柳眉をしかめ「わかってるよ」僕を睨みつける。
鋭い視線を受けながら、それでも彼女の意識が少しだけでもこちらに向いたのが嬉しくて思わず綻んだ僕の表情にニヤは少しだけ驚くと今度は窓の外に視線を移し立ち上がった。
離れていった温もりを埋めるように、僕はますますぬるくなったワインを口に運ぶ。
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