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振り返って見れば、そこには小柄な女性が一人。
軽やかな茶毛を軽くウェーブさせ、淡い色のカーディガンにフレアースカートを纏った姿は如何にも女の子らしく。
何時もジーンズにTシャツ姿のニヤを思い浮かべ、彼女もこんな格好をすれば可愛いのになどと思いを巡らせていると。
「水瀬(みなせ) 玲君……だよね?」
もう一度確認するように尋ねてくる。
「ええ……。 失礼ですが、以前どこかで?」
「えっと、高校の時同じクラスだった、矢野 杏子(やの きょうこ)。 覚えて……ないかな?」
その名前に聞き覚えはあった。
高校を休みがちだった僕に良くノートやプリントを見せてくれていた女の子。
もっとも、その子はメガネに黒い髪をふたくくりにした、どちらかと言えば目立たない少女だったが。
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