5 再会

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「ちょっと待ってね」 考え込む僕に彼女は鞄をゴゾゴソとあさりだして、ペンケースのような物を取り出した。 そこにはフレーム無しの眼鏡が収まっていて。 「ほら」いいながら目にあてがう。 「矢野さん!」 思わず声を上げた僕に矢野さんは安心したように笑った。 「すっかり変わってしまって分からなかったよ」 「あれから二年……三年くらいたってるから、しょうがないよ。でも眼鏡かけても分からなかったらどうしようかと思っちゃった。 それにしても、久しぶりだね。 玲君、突然居なくなったから」 高校三年の夏、僕は高校を辞めた。 もともと休みがちだったし、勉強自体嫌いでなかった僕は、知識だけならあとからどうにでもなるだろうと考えていた。 なによりも、早くあの家を出たかったのが大きかったが。
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