5 再会

10/10

1404人が本棚に入れています
本棚に追加
/217ページ
「僕も実はしどろもどろで、何を話したか覚えてないんだけどね」 僕の告白に矢野さんは「玲君でも?」と驚くと、また嬉しそうに笑みを浮かべる。 普段トゲトゲしい雰囲気のニヤに接することの多い僕は穏やかな時間にすっかり落ち着いてしまっていて。 気がつけばいつもの夕飯の時間をすっかりまわってしまった時刻で。 僕達は慌てて会計を済まして外に飛び出した。 時間も時間だし雨が降り出していたこともあり、僕は矢野さんを彼女の自宅まで車で送り届けた。 大学に通い出してから一人暮らしを始めたという彼女は僕の家からそう離れていない学生向けのマンションに住んでいた。 せっかくだから部屋によっていかないかと言ってくれた彼女の申し出を丁寧に断り、後日、改めて食事をする約束をして少し遅めの帰路についたのだった。
/217ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1404人が本棚に入れています
本棚に追加