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若き天才画家、印象派の新星と人は僕を賞賛するが自分の心すら自由に出来ない情けない男だと僕は知っている。
必要とされているのは金になる絵を吐き出す印刷機であって、僕という人間ではないのだ。
だからだろうか、自分の庇護の元でしか生きられない物が欲しかった。
キッチンから戻ってきたニヤは当然のように僕の膝の上に陣取る。
昼食のドリアを彼女は少し食べて残していた、彼女はお気に入りをいつも少しずつ食べる。
随分と伸びた艶やかな黒髪を梳きながら僕はニヤと出会った日のことを思い出していた。
そして、ニヤをあっさりと僕に捨ててよこした女のことを。
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