6 雨と香り (前)

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あれはニヤを引き取ってしばらくたった十月も終わりのことだった。 いつもと同じように森川さんのところに絵を収めに行った僕は、運悪く、たまたま居合わせた画廊の親会社の社長と、その知人らに捕まってしまった。 僕のファンだという彼らの話は予想以上に長く、接待という名目で僕は連れ出されそうになっていた。 当時、既にニヤの存在を知っていた森川さんの機転によりなんとか抜け出せたものの帰ってから夕食を作るにはどう考えても遅い時間で。 僕は仕方なく良く行く、トラットリアにニヤを伴い夕食に出かけた。
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