6 雨と香り (前)

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随分悩んで歩きまわった僕たちは、偶々入ったアクセサリーショップで見つけたブルーオパールのブレスレットを購入した。 シンプルなデザインのそれは、手につけてもあまり煩わしくなかったし、何よりも僕の目を引きつけたのは青と白、黒の入り交じった半透明の石だった。 オパールとしてはあまり価値のないらしいそれは、けれど、空みたいで、ニヤもきっと気に入ってくれる、そんな気がした。 予定より幾らか遅れて、僕たちは予約していたレストランにはいった。 仕事関係の会食によく使うそこは、いわゆる「高級レストラン」に分類されるが他の同じような店よりシンプルで、なによりも気取らない雰囲気を僕は気に入っていた。 終始穏やかに食事は進んだ。 心が落ち着く反面、ニヤが居ないとどうもつまらなく感じてしまう。 僕は心の中で矢野さんに謝りながら、運ばれてくる料理を口に運んでいた。
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