6 雨と香り (前)

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「良い部屋だね」 あまりジロジロ見るのも失礼だろうと、僕は簡潔に感想だけ述べると玄関の対局にある窓側に腰を下ろした。 「あんまり片付いてなくてごめんね」 僕より遅れてリビングに入って来た彼女の手にはカップが二つのったお盆と、分厚い本が握られていた。 「インスタントだけど」 言いながら僕の前にカップを置く彼女に「見せたいものって、それのこと?」尋ねると、矢野さんはその分厚い本を僕のカップの横に並べた。
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