6 雨と香り (前)

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ただ、それは恋愛感情からは切り離された思いで。 僕は答えをわかっていて、けれどそれを口にする事が出来なかった。 ニヤに対する感情はけっして許されるべきものではない。 矢野さんの言葉に僕は現実に引き戻されたような気がした。 僕が恋をするべき相手は中学生の女の子であるニヤではなく、矢野さんのような女性なのだ。 潮時なのかもしれない。 僕は心の中でそう呟いた。 外からは俄かに雨音が聞こえ始めていた。
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