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「この辺りの子かい?」
尋ねた僕に少年は無言で首を横に振った。
「家族とか……誰かと一緒にきたの?」
彼の格好はとても旅行に来た風には見えなかったけれど僕が一応そう尋ねると少年はやはり無言で首を横にふる。
「行くところがないなら僕と一緒においで」
差し出された手に少し驚いて、少年は僕の顔と手を交互に見るとしばらく考えておずおずと僕の手をとった。
ひどく細くて小さなその手をひいて、宿に戻った僕は宿泊客が一人増えたことを従業員に伝えて、僕のとった部屋がある離れの方へと向かった。
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