1404人が本棚に入れています
本棚に追加
/217ページ
僕はそんなニヤを見るとき酷く羨ましく思う。
ニヤだけではない、僕に想う人がいると知りながら自分の気持ちを伝えた矢野さんや、僕の身勝手な両親にも一歩も退かなかった森川さん……。
彼女らに比べると僕はどこまでも情けなく優柔不断で。
彼女らに勝っているものがあるとすれば描くことだけなのに、それにすら真剣に向き合えない自分。
なんて臆病で愚かなんだろうと、心から思う。
「ごめんね、痛かったろ?」
ニヤの頬を撫でながら尋ねた僕の声は驚く程に掠れていた。
最初のコメントを投稿しよう!