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ポタリと僕の顔に雫が落ちた。
「お前が他の人に触れるのが嫌だ! お前に他の人が触れるのが嫌だ! ニヤは子供だからダメ? ニヤだってそんくらいできる出来るから、出来るから……」
泣きじゃくるニヤに僕は心底自分が嫌になった。
あまりに卑怯で姑息な自分が。
「彼女とは、ニヤが見た女の人とは何もしてないよ。ただ話をしただけ。 あの人は僕の大切な友達だから」
「友……達?」
「うん、友達」
「嘘だ」
「嘘じゃない」
「お前から、知らない女の人の臭いがした、いっぱい」
「それでも彼女はただの友達だよ」
「あの人が……大切な人じゃないのか?」
「違う」
「じゃあ……」
罪悪だと知っている。
大人になったニヤは僕を捨てていなくなってしまうかもしれない。
自分の汚さも情けなさも僕は十分に理解している。
だから、傷つけあうだけかもしれない。
それでも僕は。
「……大切な僕のニヤ」
僕はニヤをもう一度抱きしめてその額にキスを落とした。
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