8 その猫の居場所

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ポタリと僕の顔に雫が落ちた。 「お前が他の人に触れるのが嫌だ! お前に他の人が触れるのが嫌だ! ニヤは子供だからダメ? ニヤだってそんくらいできる出来るから、出来るから……」 泣きじゃくるニヤに僕は心底自分が嫌になった。 あまりに卑怯で姑息な自分が。 「彼女とは、ニヤが見た女の人とは何もしてないよ。ただ話をしただけ。 あの人は僕の大切な友達だから」 「友……達?」 「うん、友達」 「嘘だ」 「嘘じゃない」 「お前から、知らない女の人の臭いがした、いっぱい」 「それでも彼女はただの友達だよ」 「あの人が……大切な人じゃないのか?」 「違う」 「じゃあ……」 罪悪だと知っている。 大人になったニヤは僕を捨てていなくなってしまうかもしれない。 自分の汚さも情けなさも僕は十分に理解している。 だから、傷つけあうだけかもしれない。 それでも僕は。 「……大切な僕のニヤ」 僕はニヤをもう一度抱きしめてその額にキスを落とした。
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