選考会

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 あれから何時間たったのだろうか?  ここにいる男女十人は皆そう感じていた。  気が付くと見知らぬ部屋にいた。  十二、三畳はあるだろうか?  部屋は殺風景で、錆びたドア以外には特に何も見当たらない。 ただ錆の臭いが部屋を包み込んでいるだけ。  ドアには鍵がかかっているのか、錆び付いてガタが来ているのか …開かない。  最初はみんな戸惑っていた。  開かないドアを蹴り飛ばし 「出せ!!」 と叫ぶ者。  無言で泣き出す者もいた。  あれから何時間経過したことか…  今は誰も喋らず、床に座り、ただ黙っていた。  退屈だなぁ… ただ一人座りながら、そう思う女。  金原 恭子 まだ恭子には他の者達と違い余裕があった。  目覚めた時には やべぇ…拉致られた? などと思っていたが、どーせそのうち誰か助けに来るだろう。 …警察とかさぁ…??  そう思っていた。  あっ… 今日、毎週見てるドラマじゃん!? 最悪… てか本当に今何時だろ? 恭子を含み、部屋にいる全員の持ち物は全てなくなっていた… 鞄、携帯、時計、アクセサリー等。  全部なくなっていた。  一体何の為に集められたのか?  目的は?  恭子以外の全員はそう思い焦り始めていた。  その時である。  ビィーーーーーー いきなり部屋中に音が鳴り響いた。  流石の恭子もビックリして辺りを見回した。  ビィーーーーー  音は止まない。  どうやら天井にある小さな穴から音がなっているようだ。 「なんだよ。この音?」  音は段々と音量を増して大きくなる。  何よこれ?  頭が痛くなる。  恭子は音が鳴り響く穴を睨み付けた。  ピタ… 急に音はなり止んだ。  なんだったんだろ?  ガチャ どこからか、また音がした。  今度はドアからするようだった。  今度は何? ドアから音? まさかね… 呆然とする十人… しばらくして、一人の男がドアに手をかけた。  ギィ… 錆付いたドアは、唸りをあげるように ギギィと音をだしなから開いた…  おっ? ドア開いたじゃん! ラッキーこれで帰れる。  恭子を含め全員がそう思った。  ドアの向こうには長い階段… この先が出口なのか…?
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