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「やっと帰れますね」
十人の中の一人が恭子にそう言って話かけてきた。
ゆるいパーマがかった髪に、優しそうな顔達…わぁ…顔整った男の人だなぁ…
それが恭子の、男への第一印章だった。
「そうですね」
何時間も変な部屋に、知らない人達と監禁されていた恭子にとって
話かけられた事が堪らなく嬉しかった。
「俺、佐野浩太。よろしくね」
佐野浩太と名乗った男は、恭子を安心させようとしたのか
笑顔でそう言った。
「私は、金原恭子」
恭子も浩太に負けないくらいの笑顔で名乗った。
「なんだこれ?」
不意に一人の男がそう言った。
男が見つめる先は階段の壁。
恭子も壁を見る。
あれ?なんか書いてある?
え~なになに…
『皆様お待たせしました。
これからゲームで楽しみませんか?
心が踊るような
楽しいゲームを
しかし今回はゲームの参加人数が少し多すぎたようです。
なので選考会を行いたいと思います。
ルールは簡単、
ただこの階段をより早く登って頂くだけです。
ゲームに参加出来るのは十名の内、最後まで階段を登り切って頂いた方のみです。
皆様、ゲームに参加出来るように頑張ってくださいね』
なんだこれ?
ゲームとか意味分かんないし…
とっとと帰ってドラマでも見よ。
そう思い、恭子は階段に足を運ばせた。
ガチャ
恭子は足に違和感を感じた。
あれ?変なの…
なんだろ?…なんかスイッチみたいな感じが…
どうやら、階段に仕掛けのような物があったらしい…
「ありゃ?なんか踏んだ…」
「金原さん、何か踏んだよ?」
「ははっ、なんだろね?」
少し笑いながら、恭子が浩太の方を向こうとした時である。
シュッ
何かが恭子の頬をかすめた…
「えっ?」
恭子には、一瞬何が頬をかすめたのか分からなかったが、
直ぐにそれが細長い矢のような物だと気付く…
浩太の顔に刺さった、それを見て…
「あ」
浩太は顔に矢が刺さったまま、一言そう言って、床に倒れこみ動かなくなった。
浩太君?
何これ…?全然意味分からないよ?
浩太君?大丈夫?
恭子にはいきなりすぎて、浩太に何が起こったのかが、わからなかった。
「うわぁ!?」
他の男の叫び声で恭子は我に帰った。
そして浩太の身に起こったことの恐ろしさを理解した。
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