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「他の人は無事なんでしょうか…」
「どうだろ」
恭子達がここに着いてから、もう五分以上も経過していた。
みんな死んじゃったのかな…
恭子は他のメンバーが気になる。
全然知らない人達だけど、あの部屋に一緒に連れて来られたし…
なんか…いなくなった途端に気になるなんてなぁ…
こんな意味の分からない所に、女二人取り残される。
そう思うのは当然だった。
「うぅぅぇえぇ…」
その小さなうめき声に二人は気付いた。
「まだ生きてるよ!!」
部屋から階段を覗いて、女の子は言った。
恭子も急いで階段を覗く。
最初は暗くて、二人はよく分からなかったが、目が慣れ始めると、うめき声の主を見つけた。
しかし、部屋にいた誰なのかは確認出来ない。
恐らく男…全身ハリネズミのように、体中に矢が刺さっていた。
「酷い」
生きているのが不思議な程だった。
これでは部屋にたどり着いても、助からないだろう。
二人は同じことを思わずにはいられなかった。
先に口を開いたのは恭子だった。
「これからどうしようか?えーと…」
「あっ…すみません!志穂です。七倉志穂」
「私は…」
「恭子さんですよね?」
「あれ?何で名前?」
「さっき会話聞こえたから…あの男の人との…」
浩太君…
ごめんね…
私なんかに話かけたから、あんなことに…
恭子は自分を責めた、危機感なく、行動した自分を…
しかし恭子がスイッチを踏まなくても結果は同じだっただろう。
死ぬメンバーが違っただけだろう…
恭子と志穂に沈黙が続いた。
しかしいつまでもここにいても時間が過ぎるだけである…
二人は前に進むことを決意した。
部屋を見回すと、登って来た階段とは別に、また階段があった。
ただそれだけ。
他には何もない。
その時点で、二人の進むべき道は決まった。
「行くしかないよね…」
今更、身体が震えだした…さっきまでの一瞬の出来事が脳裏によぎる…
怖い…
この階段を登れば終わりなの?
…家に帰れるの?
二人は震える身体を無理矢理に止め、足を前に進ませる。
階段はさっきの事を思い出させて吐き気を覚える…
二人は一歩一歩静かに階段を登る。
終わりを信じて、ただ無言で登り続けた。
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