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『これより第61回有終小学校の卒業式を始めます。』
場内に卒業を飾るにふさわしい音楽と、拍手喝采が巻き起こる。
『……続きまして、卒業証書授与式を行います』
『以上、6年2組、男子19名、女子16名。計35名。』
前の組の授与が終わり、拍手が巻き起こる。
僕らの担任の松本先生がマイクを2回人差し指で軽く叩く。
『6年3組、出席番号1番、相原加奈子』
『はい!』
『出席番号12番、武藤龍介』
『はぁい!』
…次々にクラスメイトの名前が呼ばれ、壇上へ上がり卒業証書を受け取っていく。
なんとも言えない緊張感が僕を取り巻いた。
『出席番号21番、片瀬譲』
『は、はい!!』
僕はこの春、6年間通った小学校を卒業した…。
『卒業証書。片瀬譲。あなたは6年間、学業に励み、有終学校を卒業した事を証します。以下同文…おめでとう。』
『ありがとうございます。』
僕は壇上で卒業証書を受け取ると、校長先生と笑顔で握手を交わし、PTAからの記念品を受け取り、席に戻った。
『……以上、卒業生、男子69名、女子63名、計132名の卒業証書授与式を終わります。』
再び大きな拍手が場内を包み込む。
卒業式が終わり、最後のクラス会が終わると、父と母が廊下で待っていた。
父「譲、おめでとう」
母「おめでとう」
譲「うん。ありがとう!」
僕は親に感謝の意を伝え、晴れ晴れしい気持ちで校門を出た。
『おい、譲!』
振り返ると、修三が卒業証書を片手に嬉しそうに走ってくる。
譲「おう!修三も無事卒業だな」
修三「あのな、小学校は必ず卒業できんだよ!」
新海修三は、6年間クラスが違うにも関わらず、仲の良かった親友である。
修三「おまえ中学、桜台中学だよな?」
譲「あったりめぇじゃん」
修三「……中学でもよろしくな」
譲「当たり前だろ。親友くん!」
修三「…うん、じゃあな!!」
僕らはふざけてランドセルを蹴り合い、中学校に胸を馳せながら手を振った。
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