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「まぁ、年頃を過ぎたら、また違って来るだろうから、あんまり気にするな…」
平岡が、矢野を慰めている。
延々と、矢野の愚痴は続いた。
「そんなもんかなぁ…娘は難しいよなぁ…」
シンミリの酒に変わっていたが、先程の新人、尾形がやって来た。
「よろしくお願いしまーす!」
「おう!尾形!お手柄だったな!どうだ?一課は?」
矢野が元気を取り戻した。
「はい!憧れの一課に来れて、幸せです!」
ハツラツとした返事。
「そんなにいいとこじゃねえぞ…。」
皆の頭の上で声がした。
ただ1人を除いて、皆が上を向いた。
長尾がユラリと立っていた。
「…長尾」
矢野が呟いた。
「課長、俺はお先に失礼しますよ。」
「なんだ?もう帰るのか…」
「はい、じゃあこれで…」
長尾は出入り口に向かった。
「相変わらずブキミだな…」
島峰が呟いた。
そして、皆がまた話の続きをしようとしたとき…
バタン!
出入口の方で大きな音がして、座敷が揺れた。
皆、一斉にその方を見ると…
長尾が倒れていた。
なんだなんだ!どーしたぁ?
騒然となる。
1人が駆け寄り、様子をみて言った。
「長尾のびてま~す!酔っ払ってイビキかいて寝てまーす」
潰れただけかよ!ビックリさせんなよー!どっか隅にねかせとけー
皆のブーイングが騒がしい。
「どれだけ飲んだんだ?」
矢野達一同が、長尾がいた席を見ると…ほとんど中身が入ってない一升瓶が置いてあった。
一同が顔を引きつらせ、シンクロする呟き…
「…ブキミなヤツ…」
しかし、これは序曲…
異変に気付いたのは島峰だった。
「おい、スマイソン、どうした?」
皆がスマイソンを見た。
スマイソンがうつむいている…。
「…おい…」
もう一度声をかける。
尾形が、スマイソンに近付いて、肩を揺すった。
「先輩、大丈夫ですか?」
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