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尾形以外の人間に悪い予感が走る。
…まさか…
「おい、ちょっと待…」
矢野が尾形を止めようとした時、
「ダハハ~余興余興!ダハハ~」
近藤が笑いながら、小さなグラスをつまんで振っていた。
矢野が青ざめた。酔いは完全に吹き飛んでいる。
「近藤さん、あんたまさか…ビールにポン酒を…尾形起こすな!」
しかし、遅かった。
「…んあ?…おーっ!おがたぁー…ニャハハハ」
スマイソンは目を覚ました。
笑っているが、青い瞳は、危険な光を帯びて…完全に据わっている。
「おーっ、おーがーたー…ニャハハハ…お前ガタイけっこーいーじゃねーかぁーニャハハハ」
スマイソンがYシャツを脱ぎだす。
「いよっ!マモルちゃん!待ってましたぁ~ダハハハァ」
近藤が、手を叩いて喜んでいる。
「尾形ヤバイ!逃げろ!」
矢野が叫ぶ。
「はい?」
尾形はワケが分からず、戸惑っている。
もう、スマイソンは上半身裸だ。
「おーがーたぁー…脱げー…ニャハハハー」
「へっ?…先輩、ちょっ、ちょっと、何を…」
スマイソンは尾形の服を脱がそうとしている。
「島峰!フウカちゃん呼んで来い!早く!」
矢野が島峰に言った。「はい!」
急いで座敷を出ていった。
「うわぁ~やめて下さいやめて下さい、やめてぇ――――!」
尾形を押し倒し、マウントポジションを取るスマイソン。
「なんらよぉ~おがたぁ~脱いで勝負しよーぜー…ニャハハハ~」
必死に抵抗する尾形…泣いている…
「やめてぇ―――!」
絶叫が響く…。
「腕ずもうしようぜ―ニャハハハ―」
そこへ、障子が突然開き、スマイソンの耳を華奢な指が掴んだ。
「…いてっ!イテテテテテぇー!」
耳を捻りあげながら、
「こぉらぁ!マモル!また、ポン酒かぁ!」
店の娘、フウカだった。
「ちょいとこっち来なぁ!」
耳を捻り上げながら、座敷の外へスマイソンを連れて行く…。
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