S県警捜査一課打ち上げ

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「え~…今日は…」 ガヤガヤ…ダハハ~…ワイワイ… 騒がしい。 「エヘン!…えー…本日は皆さん忙しい中…」 …ギャハハハ…ワイワイ…ガヤガヤ… 「えーっ、ちょっと静粛にお願い…」 …ダハハハハ~ガヤガヤ… 「聞けよ!こぉるぅあぁぁあああーーーッツ!」 …ピタッ! …シ―――――ン… 「えーっ、本日は忙しい中、お集まり頂きありがとうございます!」 S県警捜査一課課長の矢野セイイチの第一声が、ここ、居酒屋「風花」のお座敷に凛と響いた…。 なみなみと注がれているナマ中のジョッキを片手に、矢野は挨拶を続ける。 「我が捜査一課にて、期待の新人、尾形ヒロムくんが配属になり、はや一週間!…配属早々、痴情のもつれによるおナベ犯行のニューハーフ殺人事件のホシを尾形くんは見事に挙げてくれました! …尾形!立って立って!」 「…はい!…どーも…」 照れ臭そうに23、4歳位の青年が頭を掻きながら立ち上がった。 皆が、拍手を送る。 オーッ!よくやった!パチパチパチ~~…いよっ、憎いねぇこのだいとーりょー!…パチパチ… 矢野の話は続く… 「えーっ、今後の彼の更なる活躍を期待するのと同時に、先日、残念ながら、被疑者死亡で書類送検のみではありますが、丸富OLとその同僚及び大学生、主婦連続殺人事件の解決に尽力した、スマイソン刑事と捜査一課全員の労をねぎらう席を本日、設けさせて頂きました。…思えば、私、矢野が捜査一課に…」 「課長!話ながいっス!」 ヤジが飛ぶ。 「ああ…ごめんごめん!それでは、早速、乾杯に移ります。みんなグラス持って…それでは、 お疲れ様でした!カンパーイ!」 「カンパーイ!」 声が揃い、 カチン、…カチン… グラスが当たる音…。 みんな矢野の話にシビレを切らしたのか、全員一気にビールを飲み干した。 「いやぁ~、この一杯目がたまらんなぁ!」 シミジミと声がした。 その声の主はスマイソン。
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