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「おいおい…典型的な日本のオヤジみてぇな感想言うなよ」
笑いながら、向かいに座っている、年配の男が言った。
平岡刑事だ。
「日本のって…オヤジじゃないですが、日本人ですよ、俺は…」
「マモルちゃ~ん…そんな事どーだっていいじゃんよー…こだわんなよぉ~」
スマイソンの横に座っている、科捜研の研究員、近藤が言った。
「いやいや、近藤さん、大事な事だから…説明するのにどれだけ俺が苦労してる事か…」
スマイソンの青い瞳が更にブルーになる…。
「…ってか、なんで近藤さんここにいるのぉ~?おかしいでしょ?科捜研なんだし…」
スマイソンが訊いた。
…ムリもない、この宴会は捜査一課の宴会だ。
細面の近藤は、ニヤリと笑い、
「どーだっていーじゃないか!そんな事…君の行くところ近藤のカゲあり、だよ…気にせずさぁ~飲んだ飲んだぁ~ダハハハァ~」
「…それじゃあストーカーじゃないですか…男に付きまとわれてもキモいだけですよ」
「そりゃ~そーか!そーだわなぁメンゴメンゴォ~ダハハハァ~!」
…ダメだこの人…
そこに、矢野から皆に対して発声が…。
「え~っ、みんな聞いてくれ!今回のみんなの活躍に感謝して、内藤署長より寸志をお預かりしています!」
オーッ!パチパチパチパチ~ッ!
「課長!いくらっすかぁ~?」
質問が入る。
矢野はのし袋を開けて、中身を取り出した。
「1万円だ…」
チッ!…チッ…ハァ~?…。
皆の舌打ちと、落胆の溜め息の音…。
「タヌキオヤジが…だから、あれ以上、上に上がれねぇんだ」
ボソリと呟く声…一番端の方から…
長尾刑事だ。
誰にも相手にされず、1人黙々とグラスの日本酒を飲んでいる…。
顔色はいつもの土気色の鉄仮面…。
長尾が皆の気持ちを、ためらう事なく代弁し…
冷たい空気のベールが部屋を包む。
「さむっ!…ダハハ~マモルちゃん、急に寒くない?ここ。ダハハ~」
…あんたもね…
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