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島田の目が、キラッと輝く。
「そう!ないのね!予定ないのね!」
いきなりネコから、獲物を狙う女豹のオーラへと雰囲気が変わる。
「実は、私も多分同じ日が非番なんです!偶然ねぇ~…」
「…分かってたんだろうが…確信犯だな…」
近藤のボヤキに、島田は反応し、
「おだまり!近藤!」
「うあっ!…すいません…」
また「の」の字…。
「でね!でね!マモルさん、どこかオシャレなお店でお食事しません?私も予定ないから!」
「う~ん…それは…」
島田の誘いに、何故か二の足を踏んで言葉を濁すスマイソン。
…なんか、危険なカンジが…喰い散らかされそうな…
こんな事でも、カンが働くらしい。
「ん~…もう…分かってるクセに…」
島田はスマイソンの太股に手を置いた。
…ヤバイなぁ…
スマイソンが、どうすり抜けようか考えた時、
「スマイソン!どうだ!飲んでるかぁ!」
男がジョッキ片手に、やってきた。
「おう!島峰!ガンガンやってるよ!」
スマイソンは、島田の手をそっと掴み、除けた。
島峰はスマイソンと同期の刑事だ。
端正な顔立ちで、長尾ほどではないが、長身だ。
「あら!島峰さん!どぉ~もぉ~」島田は、次の標的に照準を合わせた。
スマイソンの肩を道具にして、立ち上がる。
しかし、島峰は…
「島田さん、向こう側で呼んでるよ。人気ものだねぇ…後で一緒に飲もうよ」
ウインクをして言った。
「あら!そーですかぁ…困っちゃうわぁ、ウフッ、どーしましょう?…しょうがないわねぇ、じゃ、後ほど…」
島田は席を移した。
…ようするに、誰でもいいのか…しかし、それでも相手にされない近藤さんは…
横目で、「の」の字の近藤をチラ見する。
…それにしても危険な女性だ…島峰は…
「奥さんと子供さんは元気か?」
スマイソンが島峰に尋ねた。
「ああ、お陰さんでな。カミさんはもう少しで臨月だ」
「何人目だったっけ?」
「4人目だよ」
「頑張るなぁ…」
島峰は妻帯者だ。
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