30分後…

3/5
前へ
/19ページ
次へ
島田の目が、キラッと輝く。 「そう!ないのね!予定ないのね!」 いきなりネコから、獲物を狙う女豹のオーラへと雰囲気が変わる。 「実は、私も多分同じ日が非番なんです!偶然ねぇ~…」 「…分かってたんだろうが…確信犯だな…」 近藤のボヤキに、島田は反応し、 「おだまり!近藤!」 「うあっ!…すいません…」 また「の」の字…。 「でね!でね!マモルさん、どこかオシャレなお店でお食事しません?私も予定ないから!」 「う~ん…それは…」 島田の誘いに、何故か二の足を踏んで言葉を濁すスマイソン。 …なんか、危険なカンジが…喰い散らかされそうな… こんな事でも、カンが働くらしい。 「ん~…もう…分かってるクセに…」 島田はスマイソンの太股に手を置いた。 …ヤバイなぁ… スマイソンが、どうすり抜けようか考えた時、 「スマイソン!どうだ!飲んでるかぁ!」 男がジョッキ片手に、やってきた。 「おう!島峰!ガンガンやってるよ!」 スマイソンは、島田の手をそっと掴み、除けた。 島峰はスマイソンと同期の刑事だ。 端正な顔立ちで、長尾ほどではないが、長身だ。 「あら!島峰さん!どぉ~もぉ~」島田は、次の標的に照準を合わせた。 スマイソンの肩を道具にして、立ち上がる。 しかし、島峰は… 「島田さん、向こう側で呼んでるよ。人気ものだねぇ…後で一緒に飲もうよ」 ウインクをして言った。 「あら!そーですかぁ…困っちゃうわぁ、ウフッ、どーしましょう?…しょうがないわねぇ、じゃ、後ほど…」 島田は席を移した。 …ようするに、誰でもいいのか…しかし、それでも相手にされない近藤さんは… 横目で、「の」の字の近藤をチラ見する。 …それにしても危険な女性だ…島峰は… 「奥さんと子供さんは元気か?」 スマイソンが島峰に尋ねた。 「ああ、お陰さんでな。カミさんはもう少しで臨月だ」 「何人目だったっけ?」 「4人目だよ」 「頑張るなぁ…」 島峰は妻帯者だ。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

93人が本棚に入れています
本棚に追加